あなたの知らないShebang
κeenです。最近は何故かBlack君って呼ばれます。Shebangの書き方にはいくつかあって、それを利用したふと面白い方法を思い付いたので共有を。
さて、ご存知Shebangといえば
#!/bin/sh
...
のようにファイルの1行目が#!
から始まっているとシェルがそれ以降の文字列を実行可能ファイルのパス名として捜して実行してくれるものですが、実は#!
は唯一のフォーマットではありません。
#!
がデファクトになる前なのかそもそもシェルにコメントがなかった時代のものなのかは知りませんが昔は
: /bin/sh
...
と:
で始めていたらしいです。因みに:
は「何もしないコマンド」です。実質的にコメントとして扱ったり副作用のある変数展開だけを行なったりプログラマティックコメントアウトだったりの用途で使われてます。
さて、シェルは全て文字列なのでクォートしてもしなくても構いません。
":" "/bin/sh"
としてもちゃんと動いてくれます。なぜわざわざクォートするかというと割と処理系ポータブルなCommon Lisp実行可能ファイルを作る | κeenのHappy Hacκing Blogのように別の言語のスクリプトとして実行される時に文字列リテラルになってくれると単純に無視されるので互換性が高まるのです。
ということで完全版ポータブルなCommon Lisp実行可能ファイルはこうなります。
":" "/bin/sh"
#|
run_if_exists(){
command -v $1 > /dev/null 2>&1 && exec "$@"
}
run_if_exists cl "$0" "$@"
run_if_exists sbcl --noinform --no-sysinit --no-userinit --script "$0" -- "$@"
run_if_exists clisp -norc --quiet --silent -on-error exit "$0" -- "$@"
run_if_exists ecl -norc -q -shell "$0" -- "$@"
run_if_exists mkcl -norc -q -shell "$0" -- "$@"
run_if_exists alisp -qq -#! "$0" -- "$@"
run_if_exists ccl --no-init --quiet --batch --load "$0" --eval '(quit)' -- "$@"
run_if_exists abcl --noinform --noinit --nosystem --batch --load "$0" -- "$@"
run_if_exists lisp -quiet -noinit -batch -load "$0" -eval '(quit)' -- "$@"
echo "No lisp implementation found"
exit 1
|#
(write-line (lisp-implementation-type))
(force-output)
abclとcclが利用可能になりました。あとCIMも捜すようにしました。roswellは作者に訊いて下さい。
ちなみに、shebangの解釈はシェルに依存するのですが、B Shell, csh, tcsh, dash, Bash, zshで動作確認しました。古い機能なので新しいシェルほど切り捨てている可能性があったのですがBashやzshが大丈夫だったので良かったです。 一応非推奨な気がしますがこれしか方法がないので仕方ないですね。
ということでみなさんスクリプト書きましょう。
追記
@blackenedgold shebangの解釈はシェルじゃなくてOSのexec()がやります。で、#!や認識できるバイナリ以外は、exec()がエラーを返した後でシェルがファイルを見て、テキストファイルならシェルスクリプトとして実行ってやってます。なので先頭が:の場合は(続
— Kilo Kawai (@anohana) 2015, 6月 26
@blackenedgold shebangとしてではなく、シェルがシェルスクリプトとして読んでるだけなので、その後に/bin/shとか書いてあっても関係ないはず (シェルによってはそこも見るかもしれませんが)
— Kilo Kawai (@anohana) 2015, 6月 26
ということで実験してみたところ、先頭の":" "/bin/sh"
はどのシェルも読み飛ばす模様(つまり、":" "/usr/bin/ruby"
と書いてもrubyが実行される訳ではない)。
で、先程の 完全版から":" "/bin/sh"
を取り除いて
#|
run_if_exists(){
command -v $1 > /dev/null 2>&1 && exec "$@"
}
run_if_exists cl "$0" "$@"
run_if_exists sbcl --noinform --no-sysinit --no-userinit --script "$0" -- "$@"
run_if_exists clisp -norc --quiet --silent -on-error exit "$0" -- "$@"
run_if_exists ecl -norc -q -shell "$0" -- "$@"
run_if_exists mkcl -norc -q -shell "$0" -- "$@"
run_if_exists alisp -qq -#! "$0" -- "$@"
run_if_exists ccl --no-init --quiet --batch --load "$0" --eval '(quit)' -- "$@"
run_if_exists abcl --noinform --noinit --nosystem --batch --load "$0" -- "$@"
run_if_exists lisp -quiet -noinit -batch -load "$0" -eval '(quit)' -- "$@"
echo "No lisp implementation found"
exit 1
|#
(write-line (lisp-implementation-type))
(force-output)
としても動いたのでこれが最終版ということになります。
大学の講究でMINIX本やったどころかexecのところ自分の担当だったのに恥かしい。